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めすのこやぎとおそろしいいぬ

めすのこやぎとおそろしいいぬ  チャールズ・キーピング

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同著の「まどのむこう」は、
部屋のカーテンの隙間から通りを覗く男の子の固定視点のみで描かれた絵本で
出合った時はそれは驚いた。

細いカーテンの隙間から現われては消える人、動物、会話。
ストーリーを語る人はいないのだけど、
男の子の見たものと気持ちが読んでいるこちらと重なり
退屈、緊張、胸騒ぎのほんの数分間をドラマチックに体験できるしかけになっている。

団地住まいだった子供の頃
5階の窓から見下ろすいつもの景色に、
なんでもない人がなんでもない事をしているのをぼんやり眺めてたけれど、あの感じ。

子供が走って転んで泣いて、親が駆けつけて抱っこしていなくなって静かになるのや
カツカツヒールを鳴らす女の人が周囲に人がいないのを確認して、ずりあがったペチコートをひっぱりおろすのとか
中学生にポイ捨てされた空き缶が数分後に下校の小学生たちに蹴られてどっかへ連れさられていく一部始終とか
対面の団地のベランダで、奥さんが怒りながら洗濯物とりこんでる所
どうでもいいけど私だけが知っている、みたいなのは
子供ながらにイヒヒ、な気持ちで。

まあ子供なんてものは
「アリの芋虫運び」「亀、ミミズを食す」みたいなことでも
2時間映画くらいに楽しめるものだったりする。

窓枠の向こうが舞台のようでもあり
ほんの数分間がドラマチックに揺さぶられる、不思議な感覚の本です。
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ああそうそう、それでヤギの方の絵本。

こちらは「まどのむこう」に比べればそれほど驚きはしませんでしたが
キーピングらしくどすんと重厚で迫力のある一冊。

語りも潔く、なにより石版画による挿絵がいい。
キーピングは色彩もよく考えている人で
既存の色をそのまま表現することは、なるべくしないようにしているようだ。

実は総じて「大好きな作家」ではないのだけれど
この人ぁすごい!と思う。(口調が変わってしまうほど)
広く演出の上手な作家の絵本は重みがあるなあ、と、
かえってなんとなく気持ちが落ち込んでしまう一冊・・・

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